月刊自動認識2015年03月号
音楽系野外イベントにおけるNFCによる情報配信サービス
月刊自動認識2015年3月号
月刊自動認識2015年3月号
今回は昨年9月28日に東京日比谷野外音楽堂にて行われた「琉球フェスティバル2014」において、来場者への情報配信ツールとして使用されたtapee(タッピー)の導入事例を紹介する。
tapeeとは?
tapeeは、携帯電話やスマートフォンがICタグやQRコードを読み取って画面に表示する内容を自由コントロールできる新しい仕組み。
従来はICタグ側にアクセス先のURLを書込む。アクセス先を変更するためにはICタグを貼りかえる必要があった。tapeeはクラウドサーバー上にICタグ1個に対し1つずつの管理機能を持たせ、複数サイトを登録したり変更したりが自由にできる、全く新しいNFCソリューションツールである。
表示機能 |
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・アクセス先URLの差替え、複数設定、時間帯による自動切替え |
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分析、管理機能 |
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・タグのタッチした際にGPSデータを取得して記録する |
tapeeの導入
来場者2,000人に対して図1のようなNFCタグとQRコードが付いているカードを配布。 |
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図1-表 |
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来場者はスマートフォンでNFCタグかQRコードを読取って、tapeeによって設定されたURLにアクセスする。 |
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図2-裏 |
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裏側には使用方法等を記載した。 |
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図3 |
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さて、いよいよコンサートが始まる。ここでURLにアクセスすると、出演スケジュールに従って表示するアーティストのページが順次入れ替わっていく。常に今出演中のアーティストの紹介ページが表示されている。 |
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図4 |
図5 |
図6 |
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またメールアドレスを登録するサイトへ遷移して、抽選でサイン入りポスターもらえる等のサービスも提供。周辺の沖縄料理店を紹介するサイトへの遷移等、表示するサイトの作り方次第では拡張性に期待が持てる。 |
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図7 |
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そして夜も更け、盛り上がったコンサートは終了する。元のホームページへ戻る。 |
tapeeの導入効果
残念ながらNFCによるアクセスはあまり多くはなく、QRによるアクセスの方が多かった。
Android端末にNFCが搭載されていることを知らない、または使い方が分からない人が多いのだろうと思われる。また携帯端末シェアの半分を占めると言われるiPhoneがNFC非対応ということの影響もあると考える。
これらの結果は予想されていたことでもある。
tapeeはQRでも使用も可能であり、今後しばらくはNFCを補完するものとしてQRコードの併用を行っていく必要があるだろう。
しかしながら、NFCでアクセスする人も少なからずいたわけで、NFCを一度でも使用した人は(これは使った人でないと分からないが)その使いやすさからQRコードに戻ることはないと考える。QRアプリをダウンロードしアプリを立ち上げ、カメラを合わせて、といった作業は実に面倒である。
そういった意味でNFCを利用する人の割合は、まだまだ少ないけれども今後増える一方であり減ることはないだろう。
野外イベントにおいてtapeeで何ができるのか? tapeeの可能性
今回はWEB上のコンサートプログラムと言った使用方法だったが、情報の配信の仕組みという意味では広い用途が考えられる。
もっと広いエリアで数万といった人数が参加するような大規模イベントであれば、発信される情報も多岐にわたるだろう。会場案内などインフォメーション的なものや、グッズ販売などピンポイントでほしい情報に簡単にアクセスできるtapeeは、大きな可能性があると言える。
応用、今後の展開
野外で実施される音楽系フェスティバルの入場者数は近年増加の一途とたどっているという。
tapeeに限らず、NFCのこの分野における応用は期待が持てそうだ。
現状はチケットやリストバンドを係員が目で見て確認している。ここにNFCを導入することで、大きな効率化とユーザーにとっては利便性の向上が期待できる。
入退場やチケット種類の特定により入場可能なエリア等(A席、B席、アリーナ等)の制限、またローカルマネーをチャージすることでグッズや飲食物などの購入がキャッシュレスでできるようになる。また、昨今横行しているというチケットの偽造対策にも劇的な効果が期待できる。
この野外フェスにおけるtapeeを含めたNFCの展開について、今後とも注目していきたい。