オフィスや現場の備品・工具・IT資産をRFIDで管理するイメージ

「台帳はあるのに現物が見つからない」「棚卸のたびに多くの人手と時間がかかる」「貸出中なのか紛失したのかわからない」。
資産管理では、登録することよりも、現物の状態や所在を正しく保ち続けることが難しくなります。
本記事では、備品・工具・IT資産などの管理で起こりやすい課題を整理し、RFIDで改善できることや、RFIDを使った資産管理が向いている会社の特徴を解説します。

資産管理とは?対象となるもの

資産管理とは、会社や組織が保有する物品について、名称・管理番号・保管場所・利用者・状態などを記録し、適切に使用・保管することです。
会計上の固定資産だけでなく、日常業務で使用する備品や貸出品、工具なども管理対象になります。

資産管理の対象となるパソコン・備品・工具・測定器・貸出品の例
資産管理の対象は、IT機器から工具・測定器・共用備品まで多岐にわたります

対象物が増えるほど管理が難しくなるとは限りません。
数が多くても定位置から動かない物は管理しやすく、反対に数が少なくても頻繁に貸出・移動する物は所在がわからなくなりやすいため、管理点数だけでなく運用の複雑さを確認することが重要です。

資産管理でよくある課題

資産管理の課題は、台帳を作成しただけでは解決しません。
現物の移動、貸出、返却、廃棄などが発生するたびに情報を更新しなければ、台帳と実物の差異が広がっていきます。

棚卸の負担・探し物・貸出記録漏れ・台帳との差異など資産管理の課題
資産管理では、所在・状態・利用者の情報を最新に保つことが課題になります

棚卸に時間と人手がかかる

管理番号を1点ずつ確認する棚卸では、資産数が増えるほど作業時間が長くなります。
部署や拠点ごとに資産が分かれている場合は、担当者への確認や再点検も必要になります。

必要な備品や工具が見つからない

台帳上の保管場所と実際の場所が異なると、必要な物をすぐに使えません。
探す時間だけでなく、確認の連絡や代用品の手配、不要な再購入につながることもあります。

貸出・持出状況がわからない

貸出記録が残っていない、返却済みなのに記録が更新されていないといった状態では、現在の利用者を特定できません。
特に複数人で共用する備品では、口頭や記憶に頼る運用が属人化しやすくなります。

Excel台帳と現物に差異が生じる

Excelは手軽に始められますが、入力漏れ、表記ゆれ、重複登録、古いファイルの更新などが起こると、どの情報が正しいのかわからなくなります。

紛失・未返却・廃棄済みを判別しにくい

現物が確認できない場合でも、それが紛失なのか、貸出中なのか、修理中なのか、廃棄済みなのかをすぐに判断できないことがあります。
状態管理が不十分だと、調査や確認に多くの時間を使うことになります。

資産管理の課題が起こる原因

資産管理がうまくいかない原因は、担当者の注意不足だけではありません。
作業方法や更新の仕組みそのものに負担があると、運用ルールを決めても継続しにくくなります。

つまり、資産管理を改善するには、ルールを増やすだけでなく、記録や確認にかかる作業そのものを減らすことが必要です。

Excel・バーコード・RFIDの違い

資産管理の方法には、それぞれ向いている規模や運用があります。
RFIDが常に最適とは限らないため、現在の課題と必要な管理レベルに合わせて選ぶことが大切です。

向いている運用 メリット 注意点
Excel・紙台帳 管理点数が少なく、移動や貸出が少ない 低コストで始めやすい 手入力・同時編集・更新漏れが起こりやすい
バーコード・QRコード 1点ずつ確実に読み取る運用 安価で識別しやすい コードを目視し、近づけて読み取る必要がある
NFC スマホを使った貸出・返却、入出庫 専用リーダーなしでも始めやすい 基本的に1点ずつ近距離で読み取る
UHF RFID 棚卸、一括読取、探索、持出確認 離れた場所から複数タグを読み取れる タグ選定、読み取り環境、初期検証が必要

管理点数が少なく、移動がほとんどない場合はExcelでも十分です。
一方、棚卸・貸出・移動・探索などの作業が増えている場合は、バーコードやRFIDを使って現物確認と記録を連動させる仕組みを検討する価値があります。

RFIDで改善できること

RFIDでは、資産に取り付けたタグをリーダーやスマートフォンで読み取り、資産情報とひもづけて管理します。
読み取り方式を使い分けることで、棚卸だけでなく、貸出・返却、入出庫、探索などの業務にも活用できます。

RFIDタグを資産に取り付け、棚卸・貸出・返却・探索・履歴管理を行う流れ
資産とタグ情報をひもづけることで、現物確認と記録を効率化できます

棚卸を効率化する

UHF RFIDでは、複数のタグをまとめて読み取れるため、管理番号を1点ずつ確認する作業を減らせます。
未読品や不明品を絞り込み、確認が必要な物だけを再点検しやすくなります。

貸出・返却の記録を残す

資産と利用者を読み取って記録することで、誰が何を使用しているかを確認しやすくなります。
NFCであれば、対応するスマートフォンやICカードを利用した小規模な運用から始めることもできます。

探し物の範囲を絞り込む

UHF RFIDリーダーの反応を確認しながら対象物に近づくことで、棚や保管庫の中から探す範囲を絞り込めます。

RFIDを使って備品や工具を探索するイメージ 探し物対策 RFIDで探し物を見つける方法|備品・工具・IT資産をすばやく探索する仕組み

移動・入出庫の履歴を残す

いつ、どこで、誰が読み取ったかを記録することで、資産の移動履歴を追いやすくなります。
問題が発生した時も、台帳の現在値だけでなく、変更の経緯を確認できます。

RFIDが向いている会社の特徴

RFIDが向いているかどうかは、会社の規模や管理点数だけでは決まりません。
次のような課題が複数当てはまる場合は、RFIDによる資産管理を検討しやすい状態です。

RFID資産管理が向いている会社の特徴を確認するチェックリスト
資産数よりも、移動・貸出・棚卸などの管理負担が判断材料になります

特に、棚卸・探索・貸出管理のうち複数の業務を改善したい場合は、RFIDを単なるラベルではなく、現物の動きを記録する仕組みとして活用しやすくなります。

RFIDを急いで導入しなくてもよいケース

RFIDは便利な仕組みですが、現在の課題が小さい場合は、Excelやバーコードの運用改善だけで十分なこともあります。

RFID導入の目的は、技術を使うことではなく、資産管理にかかる手間や損失を減らすことです。
現在の運用で問題がなければ、無理に仕組みを増やす必要はありません。

資産管理のRFID化を始める手順

最初から全社・全資産を対象にするよりも、課題が明確な範囲から小さく始める方が、必要な機能や効果を確認しやすくなります。

対象選定・現状確認・タグ選定・小規模検証・運用評価というRFID資産管理の導入手順
課題が大きい資産を選び、小規模な検証から始めます
  1. 対象を絞る:よく探す備品、棚卸負担が大きい資産、貸出品などを選ぶ
  2. 現在の課題を測る:棚卸時間、探す時間、差異件数、再購入件数などを確認する
  3. 読み取り方法を決める:スマホ・NFC・UHF RFIDなど、目的に合う方式を選ぶ
  4. 実物で検証する:タグの貼り付け位置、金属や水分の影響、読み取り距離を確認する
  5. 運用を評価する:作業時間が減ったか、記録を継続できるかを確認して対象を広げる

小規模な検証では、読み取り性能だけでなく、登録・貸出・返却・例外処理まで実際の担当者が無理なく使えるかを確認することが大切です。

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まとめ|管理点数よりも「運用の複雑さ」で判断する

資産管理では、棚卸、探し物、貸出・持出、台帳更新など、現物が動くたびに管理作業が発生します。
管理する物が多いだけでなく、移動や利用者の変更が多いほど、台帳と現物の差異が生じやすくなります。

RFIDを活用すると、現物確認と記録を連動させやすくなり、棚卸の一括読取、貸出・返却、探索、移動履歴の管理などを効率化できます。

一方で、物が少なく移動もない場合は、Excelやバーコードで十分です。
RFIDが向いているかどうかは管理点数だけで決めず、棚卸時間、探し物、貸出頻度、更新漏れなど、現在の運用負担を基準に判断しましょう。

まずは課題が大きい資産を絞り、実物を使った小規模な検証から始めることがおすすめです。

よくある質問(FAQ)

RFIDはどのような資産管理に向いていますか?
管理する備品や機器の数が多い、棚卸に時間がかかる、探し物や貸出・持出が多い、複数拠点や複数担当者で管理している、といった資産管理に向いています。
資産管理はExcelだけでもできますか?
管理点数が少なく、更新担当者が限られ、移動や貸出が少ない場合はExcelでも運用できます。ただし、点数や利用者が増えると、更新漏れや現物との差異、同時編集などの課題が起こりやすくなります。
RFIDを導入すれば資産の位置が常に正確にわかりますか?
RFIDを導入しただけで、すべての資産の位置が常に自動表示されるとは限りません。読み取り方法や設置環境、運用ルールに応じて、所在確認、探索、入出庫記録などを組み合わせて管理します。

執筆・監修

ハヤト・インフォメーション|RFID/在庫管理ソリューションの企画・開発・導入支援。

2003年RFID開発開始。国内20年以上の実装支援。

最終更新:2026年7月10日