RFIDパッケージ・NFCアプリの導入事例を紹介します。

製品情報

松竹衣裳様によるMANICA Excel Toolを用いた衣裳管理事例
MANICA EXCEL TOOL導入事例

松竹衣裳株式会社様

松竹衣裳様は、全国5拠点において、主に歌舞伎・演劇・映画・テレビ・舞踊における衣裳の製作・レンタル・販売、また小道具の製作・レンタル・販売、そして各種イベントの企画に携わる事業を展開しています。

業務上の課題

撮影用衣裳をお探しのプロのスタイリスト・制作会社の方向けに、TV・CM・映画・舞台・MV、その他イベント等あらゆるジャンルの「衣裳のレンタル・サービス」をご提供されていますが、長年に亘って取り扱われてきたアイテム数は累計で、10万点を数えます。メンズ・レディースの小物を含むファッションウェアから、警察官や鑑識・刑務官など官服関連、学生服や警備員の制服のほか、希少な時代衣裳からドレスまで、様々なニーズに合わせた撮影用の衣裳アイテムがご用意されています。

レンタル希望者からの多様かつ大量のリクエストに迅速に対応するために、松竹衣裳様では、これまで在庫管理には多大な人的コストを負担されていました。大量の品目について、どの棚に、どのアイテムが、何着ほど保管されているかを管理し、見た目だけでは個品の判別がつきづらい衣裳が多い中で、サイズの選択を含め、間違えのないピッキングをスピーディに行うためには、人的ノウハウに依存する部分が多かったようです。

また、新たなレンタルのリクエストに対して正確な在庫状況に基づいた対応を行うためには、貸出/返却の状況をリアルタイムに記録して、それを社内で共有する仕組みが必須となっていました。目視、手入力による実績登録は、忙しい現場スタッフの皆様に多大なる負担を強いることになっていたことは容易に想像されます。

写真1:葛西倉庫のストックエリア
写真1:葛西倉庫のストックエリア

ICタグへの期待と懸念事項

そんな中、アイテム現物の確認や探索/棚卸などの検品業務を省力化する技術として、以前からICタグに注目をしていました。もし、すべてのアイテムにICタグが取り付けられていれば、電波を照射するだけで、どこに何が何個あるか、自動的な検品が実現される。これにより、貸出/返却時の実績登録や、棚卸、探索業務を正確にスピーディに行うことができそうだ、というところまでは、検討の早い段階でイメージができていました。

そこで、いざICタグを使ってみようと色々しらべてみたところ、一般的なICタグは某アパレル量販店で利用されているようなシールタイプが多く、貸出の都度クリーニングを行う必要のある自社保有アイテムの管理には、不向きなのではという懸念が出てきました。

また、ICタグとスキャナーの他に、専用の管理システムが必要な点についても、どこまでの機能が必要なのか、どれぐらいの費用が適切なのか、ICタグを利用したことのない状態からでは、なかなか見当がつかない状態でした。

MANICA Excel Tool/ハヤト・インフォメーションへの期待

RFID業界の複数社に相談を持ちかけてみた中で、ハヤト・インフォメーションのMANICA Excel Toolが、自社のニーズに近いソリューションであることが分かってきました。

デモンストレーションを通じて興味を惹かれたのは、使い慣れたExcelからICタグのスキャナーを制御できることでした。自社がこれまで作成してきたExcelベースの管理台帳を、ほぼそのまま活用できることや、これまで手作業で更新を行っていた貸出/返却の実績登録を、ICタグの読み取りにより自動化できるのは自社の要求に限りなくフィットするものと考えられました。

また、繰り返しの洗濯にも耐えられるランドリータグや、紐でくくりつけることのできる下げ札型ICタグなど、管理対象および管理要件に合わせて、適切なICタグの提案を受けることができました。リーズナブルなソフトウェアと、適切なハードウェアをまとめて提供できる点などを考慮して、ICタグ導入のパートナーとしてハヤト・インフォメーションを選定いただきました。

現在導入済みのシステム構成

メインの保管エリアには、1台の管理PCにMANICA Excel Tool 棚卸パッケージをインストールして、シート型アンテナを利用した検品台方式での貸出/返却登録と、ハンディリーダーを利用した棚卸/探索を利用しています。別室でも、1台のPCとハンディリーダーを組み合わせた持ち出し管理の仕組みを並行して運用しています。取り付け済みのICタグとしては数千枚程度で、徐々に対象を増やしていく計画です。

写真2:ICタグを取り付けた衣裳
写真2:ICタグを取り付けた衣裳

ICタグ部分拡大
ICタグ部分拡大

導入時の苦労話

検品台方式で貸出/返却を行う際に、ICタグの読み取り性能をいかに抑えるか、という点で苦労が有りました。通常は読み落としによる登録漏れが懸念されるICタグですが、最近は通信性能も向上しているために、読みすぎる問題が発生しました。具体的には貸出登録時に、持ち出すつもりの無い近接するアイテムのICタグを読み取ってしまうなどの現象です。

スキャナーの出力を下げるなどの対策でも対応しきれず、最終的には自社で専用の遮蔽ボックスを作成しました。貸出/返却登録時には、このボックスの中に対象アイテムを入れることで、周囲の不要なタグを読み取ること無く、スムーズな実績登録を行うことができるようになりました。

写真3:専用遮蔽ボックス
写真3:専用遮蔽ボックス

ご担当者様のコメント

ICタグは敷居が高いイメージがありましたが、ハヤト・インフォメーションのMANICA Excel Toolを活用して、まずは小規模で手軽にスタートすることができました。貸出/返却、棚卸、探索などの管理業務に必要な機能がパッケージソフトとして提供されていることや、導入フェーズに応じて段階的に機器を追加できることなどにメリットを感じています。また、VBAカスタマイズも可能なので、自社の管理業務に容易に最適化することができました。今後は、現在の管理業務への更なる活用はもちろん、その他の業務においてもICタグ活用の可能性を考えてきたいです。

松竹衣裳株式会社
制作管理部 映像制作管理課 プレスルーム