RFIDパッケージ・NFCアプリの導入事例を紹介します。

製品情報

月刊自動認識2017年06月号
究極の見える化を実現するRFIDシステム

月刊自動認識2017年6月号

月刊自動認識2017年6月号
月刊自動認識2017年6月号

UHF帯RFIDの製品が出始めたころは爆発的な普及が期待されていたが、そのような普及は見られなかった。かしながら近年ようやくUHF帯RFIDを活用したシステムが増えてきており、本格的な普及期に入ったと見られる。UHF帯RFIDを利用したシステムとしてはオーソドックスなリアルタイムロケーションシステムについて当社のMANICAトレイサー(図1)をご紹介したい。おかげさまで導入事例も増えてきており、強力なサブシステムとしてご利用いただいているところもある。そこで本稿では、MANICAトレイサーにはどのような機能があるのか、またRFIDを利用したリアルタイムロケーションシステムをどのように活用できるかや注意する点は何かなどについて説明したい。

図1 MANICAトレイサー
図1 MANICAトレイサー

RTLSで利用される技術

リアルタイムロケーションシステムは表1のように様々なタイプが存在しているが一般的にどれも高額な設備費用となる。その中で管理対象物が多数ある場合、RFIDタグは有力な選択肢として挙げられる。RFIDタグは電池を必要としないので1個1個の価格は安価にでき、そのかわりに通信距離が他のものと比較して短くなる。MANICAトレイサーはRFIDタグを利用し、各所にRFIDのリーダライタを設置することでリアルタイムロケーション管理を行っている(図2)。

表1 RTLS(Real-Time Location System)の比較
表1 RTLS(Real-Time Location System)の比較
図2 MANICAトレイサー概要
図2 MANICAトレイサー概要

何を見える化するのか

見える化により得られる情報として一番重要なものが、「現状を正しく把握する」ことである。製造されているものがどのようなタイミングで工場内を移動し、どのような工程を経ているのかは意外と把握できていない場合が多い。見える化により現状を把握してみると想像していた動きと異なったりすることがあり、多くの気付きを得ることができるようになる。

何を見える化するのかは業務により大きく異なってくるが大きく3パターンに分けられる。

1つ目は工場などで製造される「物」の動きである。工場で多くの製品が工場内を移動しながら製造される場合、このロケーションの管理は非常に役に立つ。場所により工程と紐付けられること多いため、ロケーション管理がそのまま工程管理として使用できる場合もある。2つ目は「人」の動きである。作業者がどのような配置にあり、どのような動線をとっているのかを把握するのはスケジュール管理の観点からも非常に重要な情報となってくる。

そして3つ目は「機器などの資産」の動きである。測定機など高価な機器がどのような頻度で使用され、また現在どこにあるのかなどの情報は非常に重要である。資産がどのように流動しているのかは資産管理には欠かせない情報となる。

1、リーダの配置

据置型リーダはおおよそ図3のような構成になっており、リーダーライター本体にアンテナを接続して利用する。アンテナはおおよそ6m程度のケーブルで接続される。ケーブル長は長くすることも可能だが、長くすればするほど電波が減衰し、読取距離が短くなる。

RFIDタグの読取距離はタグの種類によって大きくことなるが、おおよそ5m程度の距離まで読み取ることができる。

このような条件でリーダとアンテナを設置してゆく(図4)。MANICAトレイサーでは各アンテナごとに管理エリアを設定できる。複数のアンテナを1つのエリアとして設定も可能だ。

例えば出入口が2ヶ所ある部屋の2ヶ所の出入口それぞれにアンテナを設置する場合、2ヶ所のどちらで読み取ってもその部屋で検知したこととして処理するか、2ヶ所それぞれを別のエリア(どの出入口を通ってその部屋へ出入したのかの経路)として処理するかを選択できる。

図3 エイリアンテクノロジー社UHF帯RFIDリーダライタ
図3 エイリアンテクノロジー社UHF帯RFIDリーダライタ
図4 おおよその検知範囲
図4 おおよその検知範囲
2、多数のリーダを1台のサーバで管理する

RFIDを利用したリアルタイムロケーション管理を行う場合、多数の据置型リーダライターを様々な場所に設置して動作させる必要がある。

MANICAトレイサーには多数のリーダを監視しながら制御を行う機能が実装されている。実績ベースで60台近くのリーダを1台のサーバで制御することができている。リーダからは読み取ったタグのデータを受け取るが、全部のリーダのデータを常時受け取っていたのではネットワークの帯域の大部分を使用してしまうためパフォーマンスに影響が出てしまう。MANICAトレイサーではリーダから一定間隔でデータを報告するようにリーダを設定して利用している。これにより多少タイムラグは出てしまうが、タグの2重読取部分を省けるなどデータのコンパクト化やデータ送信間隔の分散を行うことができ、ネットワークとサーバの負荷が最小となるようになっている。

3、読取精度を補完する

RFIDの読取精度は100%ではないのでどうしても読取漏れが発生してしまう。しかしながらMANICAトレイサーでは複数のリーダとアンテナを設置しているので、ある箇所で読取漏れが発生しても次に移動した先で読み取りができればよく、すべてのアンテナで読まれない状態というのはRFIDタグが破損していたりしない限りほぼあり得ない。

また一部のユーザでは貼り付けるRFIDタグを工夫することで読取精度を上げている。このユーザはRFIDタグと製造する製品の現品票を紐付けして利用しているのだが、その現品票を入れるクリアフォルダにRFIDタグを2枚ずつ貼り付けている。またこの2枚のRFIDタグの貼る位置を各フォルダごとに変えており、数千枚あるクリアフォルダのどの任意の2枚を重ねても、RFIDが2枚とも重ならないようになっている。RFIDタグはぴったり重なった状態では読み取れなくなってしまうのでこれを防いでいる(図5)。

図5 2枚のRFタグを位置をずらして貼り付け
図5 2枚のRFタグを位置をずらして貼り付け
4、出入りの検出

複数のリーダライタを設置していることで出入りの検出の面でも有効に利用ができる。

1台のリーダライタを出入口に設置した場合、タグの検出は可能だがそれが部屋に入ったのか、出たのかは検知できない。検知する場合は別のセンサーと連動させたり、アンテナを2枚設置してどのアンテナの順番で読み取ったかなどの情報から判断する必要がある。しかしながら複数のリーダライタが設置されている場合は、部屋から出た場合次の場所のアンテナで読まれるので部屋を出たことがわかる。逆に検知はしたがその後どのアンテナでも検知されない場合は部屋に入ったのだと判断できる。

5、ビッグデータの活用

システムで溜められたデータは非常に大量なデータになるが、ビッグデータとして活用できるようになる。

例えばある品目の製品が特にどのような場所に滞留することが多かったのか、どのような動線をとることが多いのかなどを見ることができる。このような情報はこれまでは現場の人の意見や感覚に頼ることが多いのだが、数値的な裏付けとして利用できるようになり、現場のレイアウト変更の際などに重要な情報として活用が可能となる。

おわりに

RFIDを利用したリアルタイムロケーションシステムは導入のし易さにおいては比較的導入し易いと思われる。設備としてはRFIDリーダライタとアンテナを複数台設置する必要があり、RFIDタグを印字エンコードする場合はRFID対応プリンタが必要となる。あとは管理対象物とRFIDタグの紐付けが問題だ。RFIDプリンタを利用する場合は簡単だが、RFIDプリンタは高額なので安価な卓上型RFIDリーダを利用する方法もある。紐付けがうまくできれば、MANICAトレイサー側は管理番号だけを管理すればよく、基幹システムからデータを参照する形ですぐにシステムを動作させ、データを活用することができる。

MANICAトレイサーを導入いただいた事例からはリアルタイムロケーション管理という目的で導入したが、それ以上に見える化による現状の問題点までもが見える化され、さらなる改善ができているとのご意見もいただいている。これからもいろんな現場に導入いただき、改善の一助となるよう努めてまいりたい。


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