RFIDパッケージ・NFCアプリの導入事例を紹介します。

製品情報

月刊自動認識2015年12月号
大型イベントにおけるNFCの活用事例

月刊自動認識2015年12月号

月刊自動認識2015年12月号
月刊自動認識2015年12月号

2015年7月18日から8月31日までの夏休み期間、お台場で開催されたフジテレビの夏の一大イベント「お台場夢大陸~ドリームメガナツマツリ~」においてNFCリストバンドを利用したイベントシステムを導入した。

このイベントではフジテレビの番組とコラボしたアトラクションなどがありとても魅力的なイベントとなっている。

会場内の有料エリアに入るにはチケットを購入する必要があり、チケット購入者にはNFCリストバンドが配布された。

ICタグというとSUICAやEdyなど交通系や決済などで利用するイメージがある。NFCという技術は決済に限ったものではないので、他にも様々な利用シーンがあってもよい。今回の事例はその1つと言える(写真1、写真2)。

写真1 販売されたICタグ付きリストバンド
写真1 販売されたICタグ付きリストバンド
写真2 リストバンド販売をおこなったチケット売り場
写真2 リストバンド販売をおこなったチケット売り場

システム概要

このシステムは、チケットの販売・アトラクション入場・入場者の各種統計の蓄積などを管理を提供するシステムで、入場者に販売されるリストバンドに貼付されたNFCタグを利用する。  

このNFCタグは、リストバンド販売時・入場ゲート通過時・各所アトラクションブース入場時・スタンプラリー参加時などにNFCリーダーにて読み取られ、読み取ったタグIDは、クライアントアプリの入力項目または、設定項目を付加し、クラウドサーバーに送信され、各種問い合わせの応答、統計情報の管理に利用される。  

また、ICタグの読み取りにはノートパソコンに接続されたカードリーダーおよび、スマートフォンを利用して行ない、クラウドサーバーとクライアントアプリ間の通信は、3Gまたは4G回線を利用して行う(図1)。  

システム概要図
図1 システム概要図

煩雑なチケット管理を簡単に

一般的に大型イベントではチケットの種類も少なくなく、ナイトパスポートや団体用など複数の券種が存在しかつ当日券は当日のみ有効など期間的制約も付いてくるのでその管理にはとても労力が掛かってしまう。

また発券管理だけでなくそのチケットの有効性の確認も大変だ。通常はチケットに印字された券種名などをスタッフが目視で確認することがほとんどだと思われる。偽造防止も大きな課題だ。QRコード等では簡単にコピーされてしまう懸念がある。

当システムではこの部分の労力を簡素化し、さらに来場者においてはNFCリストバンドをかざすだけというスマートにイベントに参加できるようなシステムとなっている。

有料エリアへの入場の簡素化

NFCリストバンドチケットを持った来場者は、有料エリアに入る際に入口に設置してある読取機にリストバンドをかざすことでそのリストバンドの有効性が瞬時に判断され、入場可能かどうかが大きめのモニタ上に示される。スタッフはモニタに表示された内容に注意していればよく、またウェルカム画面が大きく表示されるので来場者のテンションも上がる。(写真3、写真4)

写真3 ゲートの様子
写真3 ゲートの様子
写真4 ゲート案内画面
写真4 ゲート案内画面

スタンプラリーへの応用

イベント会場内で実施されたスタンプラリーについてもNFCリストバンドを活用した。ドラマ「探偵の探偵」と連動し、スタンプの台紙を持って歩くのではなく、NFCリストバンドを各ポイントに設置してある読取機にかざすことでスタンプの付与を行うことができ、専用の読取機にかざすことでどのポイントを回ったのかの判断をすることができる。(写真5)

写真5 リストバンドをかざしてスタンプを取得
写真5 リストバンドをかざしてスタンプを取得

イベント内の投票への応用

 イベント会場内にて投票を実施した。 その際リストバンドを購入したお客様に投票していただいた。 投票にはNFCリストバンドを専用PCに接続された専用の読取機にかざすことで実施し、集計を行い、最終審査に利用した。

ビッグデータとしての活用

  システムとしては、上記だけでも十分に有効であるが、今回はNFCリストバンドの発券時に来場者属性を登録し、会場内の読取機にかざした際にどのNFCリストバンドがタッチされたのかをクラウドサーバにビッグデータとして保存することで、どういった人が来場し、どのように会場内を回遊したのかを分析できるようになった。

導入効果

本システムの導入により、来場者はNFCリストバンドという電子マネー以外のNFC非日常体験を行うことができ、イベントをより楽しんでいただく1つの要素として貢献することができた。

またビッグデータの取得により、来年以降のブース配置や導線、レイアウトなどのプランニングに役立てることが可能となった。

今後の展開

ビッグデータの取得ができるようになったことは非常に重要だ。来場者がどのように会場内を回っているのかを分析することができるようになり、主催者側が思いもよらない気付きを得ることが可能だ。これまではアンケート等でデータを収集するしかなかったが、データ分析によりアンケートでは収集できない来場者の潜在的な特徴などを掴むことができる。また来年以降もデータを取得し、比較していくことでイベントのバージョンアップが可能になるのだ。