棚卸をすれば、今ある在庫数は確認できます。
しかし、在庫数が分かっていても、過剰在庫の問題が解決しないことがあります。
その理由は、過剰在庫の原因が「数」だけではなく、「在庫がどう動いているか」に隠れている場合があるからです。
なぜ過剰在庫は起きるのか?
過剰在庫というと、「発注しすぎ」「買いすぎ」というイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、現場で在庫が見つからなかったり、実際の利用状況が分からなかったりすることで、結果的に在庫が増えてしまうことがあります。
「足りない気がする」で追加購入される
現場で必要な物がすぐに見つからないと、「在庫が足りないのではないか」と感じやすくなります。
本当はどこかに残っていても、確認に時間がかかる場合は、念のため追加購入されることがあります。
実際には“あるのに見つからない”
在庫そのものは存在していても、保管場所が分かりにくい、別の場所に移動している、誰かが持ち出している、といった理由で見つからないことがあります。
現場ごとに余分に抱えてしまう
「必要な時に使えないと困る」という不安があると、部署や拠点ごとに余分な在庫を持つようになります。
その結果、会社全体で見ると、必要以上の在庫を抱えてしまうことがあります。
- 在庫がどこにあるか分からない
- 本当に使われているか分からない
- 探す時間が増えている
- 現場ごとに予備を多めに持っている
- 念のための追加購入が増えている
つまり、過剰在庫の背景には、単なる発注ミスだけではなく、現場で在庫の状態や動きが見えにくいという課題が隠れている場合があります。
棚卸で在庫数が見えても、原因までは見えにくい
棚卸によって、実際に何がいくつあるのかを確認し、帳簿上の数と実在庫の差を把握します。
しかし、棚卸で分かるのは主にある時点の在庫数です。
過剰在庫がなぜ発生しているのか、どの在庫が動いていないのか、どこで滞留しているのかといったことは、棚卸データだけでは見えにくいことがあります。
| 棚卸で見えること | 棚卸だけでは見えにくいこと | |
|---|---|---|
| 在庫数 | 現在いくつあるか | なぜその数まで増えたのか |
| 在庫差異 | 帳簿と実在庫のズレ | どのタイミングでズレたのか |
| 保管状況 | 棚卸時点での保管場所 | どこを移動してきたのか |
| 利用状況 | 在庫が残っていること | 本当に使われているのか、滞留しているのか |
| 追加購入 | 在庫が増えた結果 | なぜ追加購入が必要と判断されたのか |
棚卸は「今ある数」を確認するために有効です。
一方で、過剰在庫の対策には、在庫がどのように使われ、どこで止まり、なぜ増えたのかという在庫の動きを見ることも重要になります。
RFIDで「在庫の動き」を記録する
RFIDは、棚卸を効率化する技術として知られています。
しかし、RFIDの価値は棚卸だけではありません。
RFIDを使うことで、在庫や備品の読み取り履歴を継続的に残しやすくなります。
その履歴を活用すると、在庫数だけでは見えにくかった「動き」や「使われ方」を確認しやすくなります。
- 持出履歴:誰が、いつ、何を持ち出したか
- 利用履歴:どの在庫や備品がよく使われているか
- 移動履歴:どの場所からどの場所へ移動したか
- 滞留期間:長期間動いていない在庫はないか
- 探索傾向:探されることが多い物はないか
例えば、在庫数としては十分に残っていても、実際には一部の場所に偏っていたり、現場では見つけにくい状態になっていたりすることがあります。
そのような場合、数だけではなく、動きや場所の履歴を見ることで、改善のヒントが見えやすくなります。
RFIDは、単に「在庫を数える」ためだけではなく、現場で在庫がどう動いているかを記録する仕組みとしても活用できます。
AI時代は、現場データを横断的に見やすくなった
以前は、現場データを集めても、それを整理したり分析したりするには手間がかかりました。
そのため、データを取っていても、十分に活用しきれないケースもありました。
しかし現在は、AIの進化によって、蓄積したデータを横断的に整理し、現場の傾向を確認しやすくなっています。
| RFIDで蓄積するデータ | 見たい指標・数値 | 改善につながる例 |
|---|---|---|
| 利用履歴 | よく使われる在庫・ほとんど使われない在庫 | 発注数や保管数の見直し |
| 移動履歴 | 特定の場所に偏っている在庫 | 配置や保管場所の見直し |
| 滞留期間 | 長期間動いていない在庫 | 不要在庫の整理、廃棄ロスの抑制 |
| 持出履歴 | 返却忘れや利用の偏り | 貸出ルールや管理方法の見直し |
| 利用頻度 | 今後不足しやすい物、余りやすい物 | 補充タイミングや安全在庫の見直し |
ここで大切なのは、「AIがすべてを自動で解決する」ということではありません。
AIを活用するためにも、まずは現場で発生しているデータを記録しておく必要があります。
RFIDによって現場データを継続的に記録し、そのデータをAIで整理・分析しやすくなることで、過剰在庫の原因を考える材料が増えていきます。
まずは小さくRFIDを始めてみる
過剰在庫対策というと、本格的な在庫管理システムや難しい仕組みを想像するかもしれません。
しかし、最初からすべての在庫を対象にする必要はありません。
まずは、過剰在庫や管理の手間が気になっている一部の物から始める方法もあります。
- 過剰在庫や探す手間が気になる物を選ぶ
- RFIDタグやICカードと対象物を紐づける
- 棚卸だけでなく、利用時や移動時にも記録する
- 一定期間、利用履歴や移動履歴を蓄積する
- よく動く物、動いていない物、偏っている物を確認する
- 発注数、保管場所、運用ルールを見直す
できるところから始めても、履歴が残れば改善の材料になります。
「なんとなく多めに持っている」「探すことが多い」「使われているか分からない」といった状態を、少しずつデータで確認できるようになります。
いきなり在庫管理の方法を大きく変える必要はありません。
今使っているExcel台帳にRFIDを組み合わせて、小さく始める方法もあります。
まとめ|過剰在庫対策は「数」から「動き」へ
棚卸によって、在庫数を確認することはできます。
しかし、過剰在庫の原因は、在庫数だけでは見えないことがあります。
「どこにあるか分からない」「本当に使われているか分からない」「念のため追加購入している」といった状態が続くと、在庫は少しずつ増えていきます。
RFIDを使って、棚卸だけではなく、利用履歴や移動履歴などの現場データを記録することで、在庫の動きが見えやすくなります。
さらにAI時代には、こうしたデータを横断的に整理・分析しやすくなっています。
RFIDの価値は、単なる「棚卸の効率化」だけではありません。
現場データを活用し、過剰在庫の原因を考えるための仕組みとしても、活用の可能性が広がっています。
RFIDと聞くと、専用リーダーや本格的な設備が必要だと思うかもしれません。
しかし最近では、スマホや身近なICカードを使って、小さく試してみることもできます。
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